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食道や十二指腸に起こりやすい病気

2025.08.01

食道から胃、十二指腸までを「上部消化管」と呼びます。その中で食道は、食べ物を喉から胃に運ぶ役割を担っていいます。消化や吸収の機能はありませんが、胃の中のものが逆流するのを防ぐなど、とても重要な器官です。そして十二指腸は、胃の中で消化された食物をさらに消化して小腸へ送る働きをします。

また、十二指腸で分解されたもののうち、アミノ酸、ブドウ糖、脂肪酸などの物質はそのまま吸収され、やがて肝臓へ運ばれます。こうした重要な役割を担っている上部消化管ですが、気付かないうちにさまざまな病気にかかってしまっていることがあります。

今回は食道や十二指腸で起こりやすい病気について、いくつか紹介していきます。

食道がん

食道がんは、食道の粘膜に発生する悪性の腫瘍です。特徴として、初期段階では自覚症状がほとんどないこと、進行するにつれてさまざまな症状が現れることが挙げられます。具体的には、がんが大きくなると、胸の違和感や食事の際の飲み込みにくさを感じるようになります。また、しっかり食べているのに体重が減少するといった症状も現れるようになります。

食道がんには「扁平上皮癌」と「腺癌」と呼ばれる2種類がありますが、日本人は扁平上皮癌の発症が多いと言われています。原因としては、喫煙や大量飲酒、栄養状態の悪化などがあります。食道がんの治療法には手術、放射線治療、化学療法、免疫治療といったものがありますが、初期の食道がんであれば内視鏡によって切除できる可能性もあります。50代以降に発症リスクが高まるため、40代を過ぎたら定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。

食道カンジダ症

食道カンジダ症は、カンジダというカビが食道に感染して炎症を起こす疾患です。免疫力が低下している方、糖尿病、血液疾患を患っている方、ステロイドや抗菌薬を継続的に使用している方などに多く見られる病気で、症状や度合いは患者様によってさまざまです。

主な症状としては、胸焼けや吐き気、食道の違和感、食べ物を飲み込んだ時の痛みなどが挙げられます。軽度のものであれば自然に治ることもありますが、重症化すると食道潰瘍や敗血症など重大な疾患につながる可能性もあるため、なるべく治療を行うようにしましょう。治療は抗真菌薬を用いた薬物療法がメインになります。

また、食道カンジダ症を発症・再発させないためには、普段から免疫力を高めておくことが大切です。食事バランスの見直し、ストレス発散、睡眠時間の確保を意識していきましょう。

食道静脈瘤

食道静脈瘤は、あまり聞きなれない方も多いかもしれません。食道の粘膜の下にある静脈が膨れて、血管がコブのようになる疾患を食道静脈瘤と言います。食道自体に問題があるのではなく、多くの場合は肝硬変が原因であるとされています。

食道静脈瘤自体が痛みを引き起こすことはありませんが、コブが大きくなって破裂すると激しい出血が起こり、突然吐血をすることがあります。また、原因となる肝硬変によって疲労感や倦怠感、黄疸といった症状が現れることもあります。痛みなどがないことで軽視されがちですが、ごくまれに多量の出血によって命を落とすこともある深刻な病気です。

治療では、内視鏡を用いて静脈瘤を硬化させる処置や、静脈瘤を縛って壊死させ自然に脱落させる方法がとられています。

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍は、十二指腸の粘膜に傷がつくことで潰瘍ができる病気です。十二指腸潰瘍になると、みぞおちに痛みを感じたり、吐き気や胃もたれが続いたり、胸焼けを起こしたりとさまざまな症状が現れます。特徴としては、空腹の時や夜間に痛みが強くなること、食事後しばらくは痛みが和らぐことなどがあります。

十二指腸潰瘍の原因としては、ストレスによって胃酸が増えたことや、ピロリ菌感染によるもの、鎮痛剤の副作用などが考えられます。治療をせず放置していると徐々に悪化し、消化管に穴が空いてしまったり大量の出血が起こったりする可能性があるため、不調に気付いた場合は早めに検査を受けて早期治療に繋げていくことが大切です。

十二指腸がん

十二指腸がんは、胃がんや大腸がんと比べると発症率はそれほど高くありません。どちらかというと珍しい部類のがんで、50代以降の方に比較的多く見られます。

原因はさまざまあり、例えば飲酒や喫煙、高カロリーな食事など生活習慣によるもの、炎症性腸疾患によるもの、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往歴、遺伝的要因も考えられます。十二指腸がんの治療では、手術や放射線療法、化学療法などが用いられます。初期の段階では症状がほとんどないため、早期発見のためには定期的な胃カメラ検査が欠かせません。

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